教育実習について
1.教育実習について
- 大学での学修を通じて得た知識や技術を教育現場で体験する機会
- 教育者となるための能力や特性を問い直す機会
- 実習生として(自ら学ぶ)・教員として(児童生徒から見ると先生)
2.本校における教育実習(実習の内容)
3回生の主免実習では3週間の期間で、特専・副免実習では2週間の期間で、以下のことを行います。
- ①教材研究を行い題材や単元理解を深めると共に、担当する授業についての計画と準備を行う。
- ②授業案(指導案)を作成して、授業実践を行う。(略案授業、修了授業(細案授業))
- ③授業の振り返り(反省会)を行い、本時の授業について、良かった点・改善点・本時の評価を行う。
- ④教室経営の実践をする。(日常生活習慣の指導(更衣・給食・排泄等を含む)、朝の会や終わりの会等の指導、休み時間の指導など)
- ⑤担当授業以外にも、全ての授業に補助者として参加する中で、子ども理解や、ティームティーチングへの理解を深める。
- ⑥一日の各場面での子どもの姿と指導者の働きかけの関連や、教材研究で気づいたことなどを、実習日誌に記録する。
特別支援教育の現場では、日常生活習慣の指導を含むことから、児童生徒が学校に来てから帰るまでの全てが、「学習場面」であり「指導場面」です。
3.実習の事前教育、オリエンテーション
大学でも「事前教育」を受けられたと思いますが、実習に当たり、「本校の取り組み」を伝えることを目的として、オリエンテーションを行います。
- ①実習心得・注意事項 (実習担当)
- ②本校の教育実践について (副校長)
- ③健康観察と保健指導 (養護教諭)
- ④進路指導の実際 (進路部長)
- ⑤学習指導案のまとめ方 (実習担当)
- ⑥各学部の実態と学習内容の概要(各学部主事)
- 担当教員からは、学級や学習集団の「児童生徒の実態」と、「対象題材についての説明があります。
4.実習をするにあたって(実習の心得)
- ○実習においては、児童生徒の前では「先生」です。常に「先生」としての意識をもって行動して下さい。
服装・姿勢・行動・言葉遣いなど、子どもは見ていて真似をします。 - ○実習の「主体者」として、積極的な姿勢で取り組んで下さい。
先生方が「自ら」考え、計画し、結果を分析・考察し、「実践」する実習です。言われたことをするのではありません。 - ○担当教員の指示がある場合には、それに従って下さい。
要配慮事項がある場合や、アレルギーに対する対応など、児童生徒の安全や健康に関わる場合があります。 - ○人権尊重・体罰厳禁。
- ○守秘義務厳守。
個人持ちカメラでの写真撮影や、実習内容のSNS書き込み等は禁止です。
実習日誌や授業案・ファイル等の取り扱いにも、厳重に注意して下さい。万一の場合は、速やかに報告して下さい。 - ○児童生徒の健康や安全を守るという観点からも、体調不良は速やかに担当教員に伝えて下さい。
実習生本人の発熱等の風邪症状だけでなく、同居家族に発熱がある場合も、欠勤となります。 - ○児童生徒に対して、年齢や性別に応じた関わりをする。
子どもにつけてほしい力や態度は、授業場面だけでなく、普段の関わりの影響も大きいです。 - ○通勤・退勤時は、墨染通りの生徒の通学路と同じ所を通って下さい。
特に登校時は、生徒と同時刻に歩くこともあります。通学路や交通マナーを厳守することはもちろんですが、生徒の話をしながら歩くことが、子どもの気持ちを傷つけることもあります。会話内容にも注意して下さい。買い物・飲食することやスマホ操作なども禁止です。
5.実習中の一日の流れ
【出勤時】
出勤時刻は、8:30です。(職員室に日誌等を提出する時刻)遅れないようにして下さい。何かありましたら、学校と大学教務課の両方に連絡して下さい。授業準備等で早く出勤したい時には、事前に、担当教員と相談の上で「OKが出れば」可能です。
出勤すると、出勤簿に押印を行います。最初に出勤した実習生は、職員室の実習担当(小坂)の机上にある出勤簿のボードと朱肉を、特別教室棟の玄関に持っていって下さい。なお、最後に押印した方は、職員室の小坂の机上に戻してください。
押印後、更衣を行います。貴重品(携帯電話含む)は、ロッカーに入れて施錠してください。緊急の連絡は、学校に入れてもらうことになりますので、学校の電話番号を必要な所に伝えておいて下さい。更衣後、配属クラスへ行きますが、児童生徒の下校までは場を離れることができません。必要なものは全て持って教室へ行ってください。
健康観察表と日誌担当教員の先生に提出します。提出先は、各担当教員に確認して下さい。児童生徒が登校するまでの過ごし方については、担当教員の先生と相談して下さい。
【指導中】
児童生徒が在校している間は、全ての教育活動に参加します。ただし、今年については、直接指導するのでなく「観察」していただく場面もあります。配属学部の主事から話がありますので、確認してください。児童生徒の様々な場面での姿を捉えることで「子ども理解」を深めたり、いろいろな指導者の働きかけや動きを見たりティームティーチングの実際を見たりする大切な機会ですので、意識をもって参加して下さい。教室経営や日常生活習慣の指導(更衣・排泄・食事など)などについても、任されることがあります。大切な実習場面ですので、普段から先生方の指導の様子を見ておいて下さい。
【放課後】
放課後は、担当教員と、一日の振り返りを行います。略案授業や研究授業(修了授業)があった日は、その授業の振り返り(反省会)を行います(反省会の記録は実習日誌ではなく指導案つづりに綴じますので、残しておいてください)。また、その他、教材研究や教材準備など、自分たちで必要なことをして下さい。実習生同士で話し合い、児童生徒の実態理解をより深めたり、授業計画を進めたりして下さい。授業案(指導案)は、途中経過でもいいので、早めに提出して見てもらうと、具体的な助言がもらえたり、授業のイメージが具体的になったりします。使用するパソコンは、個人持ちの物か大学貸し出しの物を使って下さい。プリントアウトする際は、各学部の実習用のプリンタを使って下さい。ウィルス感染防止の観点から、USBを担当教員に渡してのプリントアウトは行いません。退勤時刻は、17:00です。教材研究や教材準備などで、それ以降も残りたい場合は、何時までどこで行うかを、担当教員の先生と相談した上で「OKが出れば」可能です。ただし、今年については「密」と「長時間」を避ける観点から、できるだけ17:00に退勤できるようにしてください。「延長届け」に、残る人の名前と場所、いつまで残るかの時刻を記入し、担当教員の先生のサインをもらってください。ただし、最終退勤時刻は19:00です。
【退勤時】
更衣をし、帰る準備をした後、「そのまま学校を出られる状態」で、担当教員(事情によりおられない場合は主事の先生など)から実習ノートを受け取ってから退勤して下さい。それをもって「校内から出た」確認としますので、一度学校を出たら戻らないで下さい。
6.実習日誌の記入と、実習の評価について
実習日誌はA4の大学ノートにペン書きで行うか、ワープロを利用する場合は2穴のファイルを準備し、プリントアウトしたものをそれに綴じて提出してください。書式は別紙の通りです。手書きの場合、線は定規で引いて下さい。
- ①各場面での児童生徒の姿を客観的な事実として書く。
- ②児童生徒の姿と指導者のはたらきかけとの関連を、自らの考察や分析と合わせて書く。
- ③気づいたことや、教材研究をして分かったことなどを書く。
- ④最後に、一日の振り返りを書く。
自分が授業や実践を行う際の大切な情報となりますので、必要なことを書くようにして下さい。将来、社会人として基本的な事務能力に関わる力を求められますので、ていねいに書くようにして下さい。見開き2ページ等に納める必要はありません。
実習の評価は、実習の先生自身の「自己評価」から始まります。研究授業(修了授業)が終わってから実習が終わるまでの間に、評価表(別紙)を基に、実習の先生自身が自己評価を行い、それを基にして、担当教員の先生と面談を行って下さい。
実習最終日、全教員(本年度は学部ごと)との全体の反省会を行います。全員に、実習で学んだことを発表してもらいます。
実習終了後、「実習全体の振り返り」を記入した実習日誌と、毎回の授業案に「反省(振り返り)」をつけた物を「実習記録」の用紙を貼りつけた「黒表紙(大学生協で販売)」に綴じた指導案つづりを、担当教員に提出して下さい。その際、以下のことを確認して下さい。
来校日時は、担当教員と相談の上で決めて下さい。なお、押印もれがあった場合のため、印鑑を持参して下さい。
- ①授業案(略案・細案、主の指導者・補助者とも)が全て揃っているか。
- ②授業案に、自分の押印がされているか。
- ③略案授業・研究授業(修了授業)の日に行われた反省会での授業の振り返りが、全授業案(補助者として入った授業も含む)について、「反省」としてつけられているか。
- ④実習日誌の最後に、「実習全体の振り返り」が記述されているか。
7.授業案(指導案)について
授業案の書式は別紙の通りです。
授業案で大切なのは、児童生徒に、その授業を通して「何を学ばせたいか」「どんな姿を引き出したいか」と共に、児童生徒がその学びを得るために、また、期待した姿を実現するために、指導者がどのような「手だて」を持ち込むのかということです。そこを意識して書くことで、授業案が、 より具体的になっていきます。
本時の授業を考える際に、本時は題材(単元)全体のどの位置にあるか、を押さえておく必要があります。題材の初期と後期では、子どもの理解も慣れも違いますので、目標や手だても変わってくるはずだからです。担当教員から聞いた題材についての話から、題材全体の展開を計画し、本時の位置づけを考えることが必要になります。実習生が自身の頭で考え、解釈し、文章化することが、授業づくりの実践実習として重要です。授業案の書式の、5「題材について」は、担当教員から口頭で伝えられた情報を基に、実習生自身でまとめて下さい。どれだけ書けているか、よりも、どれだけ考えているか、が大切になります。授業づくりで、実習生の一番のがんばりどころは、8「本時の学習」以降です。
略案授業の際は、書式の「5.題材について」は省略しても構いません。配付はその授業に関わっている実習生分と、担当教員分を印刷して下さい。〆切りも、担当教員の先生と相談して決めて下さい。
その際、その授業に携わった実習生と教員分、研究授業(修了授業)を見に来ていただく教員の分は「片面刷り」で、それ以外の教員分は「両面刷り」で40部印刷して下さい。
研究授業(修了授業)の授業案は、前日の17:00までに、見に来ていただく先生に手渡しして下さい。(修了授業が月曜の場合は、前週金曜の17:00になります。)見に来ていただく先生に、予め授業案を読んでいただいておいて、その授業のイメージをもった上で、授業を見ていただくためです。両面印刷して机上配布し、残った分は、大学から見に来られる先生方にお渡ししますので、前の机の箱に入れて下さい。
8.実習で学んでほしいこと
(1)「子ども理解」に基づいた授業づくり、「子どもを捉える視点」
特別支援学校に通う児童生徒は、自分の考えや思いを表すのが得意ではありません。不安や困り、興味や自信、様々な思いをもつ児童生徒の内面を捉えることが、実践への第一歩となります。前後にあった出来事や、その時の児童生徒の表情や視線など、言葉でない、思いの表れを捉えて下さい。
(2)題材理解や教材理解を深めるための「教材研究」
授業づくりを行う際に、児童生徒理解と共に大切になるのが、題材・教材を知ることです。題材や教材を思いついたから、それをそのまま授業にもっていくことは難しいです。実習の先生自身が、事前に、児童生徒を想定して、実際に「やってみること」が大切です。やってみる中で、気づくこと・分かることが増え、授業がより具体的になっていきます。「児童生徒を想定しながら」「児童生徒になってみて」行うことが大切です。
(3)「つけたい力」や「実現したい姿」を意識した「授業計画」
その授業を通して児童生徒にどんな力をつけたいのか、どんな姿を引き出したいのか、を考えた時、「活動の初期だから、このやり方や目標数で」や、「活動も中期だから、このねらいを実現してほしい」や、「活動も終盤だからこそ、こんな姿を期待したい」など、スモールステップをどうつけていくか、が大切になります。それが「題材の展開計画」になります。
(4)児童生徒が「必然性」を感じ、「意欲的に活動に向かう」ための、提示の方法や授業展開(手だて)
児童生徒が活動に向かう時、「○○することが必要だからと、本人が感じたから」「使っていた○○が壊れたから」「興味のある○○を使えるから」「○○君と一緒に活動できるから」「面白そうだから」「できそうだから」「僕知ってるし。」など、児童生徒は、内面に動機がある時、意欲的に活動に向かいます。「おもしろそう!」「やってみたい!」「先生見て見て!」と思える「提示」や「授業展開」があれば、きっと動きが変わってきます。まずは見守り、思いや理解を捉えていって下さい。
(5)その時々の姿(意欲や興味、不安や困りなど)を捉え、PDCAサイクルを行う
授業を進めているその瞬間にも、児童生徒を捉えることは大切です。その時々の姿の要因を、考察・分析し、次のやり方を具体的に考え、提示し、その結果どう変化したか、という結果を捉えます。やってみたことで、その答えを「子どもが教えてくれる」ということがよくあります。授業の中に、このようなPDCAサイクルが無数にあり、結果によっては「どうしよう?」と思うこともありますが、そこで足踏みせずに前に進むことが大切です。事前に「こんなときにはこうする」という引き出しをもっておければ、授業の場面で混乱することは少なくなります。そのためには、児童生徒一人ひとりを「具体的に思い浮かべて」行う教材研究と、シミュレーションが大切になります。
(6)主の指導者一人が進めるのでなく、その授業に携わる指導者全てが共に進める「ティームティーチング」
主の指導者は、授業を進めることでいっぱいいっぱいで、児童生徒の姿を捉えきれてないことや、その時々の表情や言葉に気づかないことが、往々にしてあります。その点、補助者は、余裕をもってその時々の姿を捉えることができたり、子どもに寄り添って活動に向かうことができたりする立場です。だからこそ、補助者はその授業の要にもなります。
特別支援の現場でのティームティーチングは、サッカーやバスケットボールの動きに似ています。目的(学習内容、学習活動)や作戦(手だて)を共有して、その時々の状況に応じて、相手に向かいます。その意味で、「T1」「T2]と表記されることが多く、それぞれが「指導者」です。決して「補助」する立場ではなく、全員が「指導者」として動くことが大切です。
その授業の目的を共有し、児童生徒一人ひとりの目標や手だてを共有することができていれば、一人より二人、二人より三人の指導者で授業に臨むことが「強み」になります。それこそが「ティームティーチング」です。
9.本校の学校教育目標
学校教育目標
『生活意欲に富む、個性豊かな社旗人を育成する』
学部重点目標
小学部『のびのびとした自己表現ができ、意欲的に活動できる子どもを育てる』
学校生活を楽しくすごす中で、自分の活動を支える身体をつくり、身辺自立のための基本的生活習慣を確立し、自分をとりまく物や人に対してみずから働きかける力を養う
中学部『中学生としての自覚を持ち、他人にたよらず最後までやりぬく意欲を高め、個人の特性を重んじ、互いに理解し合う社会化された個性を育てる』
友達とのかかわりの場を通して、家庭生活にとどまらず、社会化された日常生活習慣を確立し、自発的な活動意欲を高めるとともに、友達と協調し、協力し合える資質を養う。
高等部『心身の調和的発達をはかり、青年中期の生活を充実させるとともに、勤労意欲と職業生活や家庭生活の自立に生かせる個性を育てる』
自己の生活圏を拡大させるとともに、社会生活に必要な日常生活習慣を確立し、生産活動に対する意欲を高め、場にふさわしい対人関係を保てる力を養う。
その他の連絡
1.給食について
- ○給食は、例年は子どもと一緒に配属教室で食べますが、コロナの関係で、別教室で食べることになります。ただし、大切な指導場面ですので、適宜交代し、密にならないようにしながら、指導場面を見学するようにしてください。
- ○給食費は、一食350円です。配属学部で集めて支払いますので、各学部で代表を一人決めておいて下さい。栄養教諭の城( じょう) 先生から金額を伝えていただきますので、集金後、学部でまとめて提出して下さい。食材は事前注文しており、欠勤されても返金はできません。
2.健康管理について
- ○毎朝、実習日誌と共に、健康チェックシートを担当教員に提出して下さい。今年は、コロナの関係で、必ず職員室で健康チェックを受け、手指の消毒をしてから、教室に向かってください。持病のある児童・生徒もおり、子どもの健康の確保のため、37度以上の体温がある場合や、咳等の症状がある場合は、欠勤していただきます。
3.授業実習について
- ○授業の計画・授業実践を、複数で行いますので、主の指導者での授業も補助者での授業も、カウントに入ります。
可能な限り、全員が、主の指導者・補助者の両方を経験するようにして下さい。 - ○必修は、小学部は「生活」 2時間以上。(1コマ×2回以上)
中・高等部は、「生活」または「作業」4時間以上。(2コマ×2回以上)です。 - ○自分たちが行う授業(主の授業、補助者の授業とも)の日付と時刻、主か補か、略案か細案(修了授業)か、を表に書きこんで、実習初日の17時までに、実習担当まで提出して下さい。修了授業で見に来ていただく先生を決めると同時に、大学や他附属の先生方に予定を伝えます。
4.その他
- ○初日に、職員打ち合わせの場での教員との顔合わせがあります。代表から挨拶をしていただきます。代表を一人決めておいて下さい。また、その日の9時45分から、オンラインで行っている「全校朝の会」で児童生徒への紹介をします。クラスごとに名前・一言あいさつをしてもらいます。
- ○修了授業後、実習終了までに、「振り返りシート」を基に自己評価を行い、担当教員と面談を行って下さい。
- ○実習最終日の15:15~、会議室で反省会を行います。15:15~14:45小学部、15:50~16:15中学部、16:25~16:45高等部で行います。更衣を済ませ、机を対面2列に並べて待っておいて下さい。反省会前後の時間を利用して、実習日誌の記入や指導案の整理、配属先担任との面談など、必要なことを行い有効に時間を使ってください。実習終了後、実習日誌・指導案綴り(黒表紙)を9/28(火)16:00までに、配属先担任まで提出してください。